病院概要

院長挨拶

 本年度もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
 昨年末から今年の年始にかけて、インフルエンザが大流行しました。そのため、市内では救急車の搬送先決定に時間がかかり、急患センターでの待ちも長時間になりました。コロナ感染者もそれなりにいましたが、世の中がコロナ一色となるパンデミックが終了したことを改めて実感しました。これからは、通常の感染流行に対応する体制を整えることが必要だと考えました。
 昨年6月の診療報酬改定で病院、特に急性期病院は経営面での大きなダメージを受けています。診療報酬はわずかに増額されましたが、そのほとんどが新しく設けられたベースアップ評価料と呼ばれるものです。病院は人件費として全て支出することになります。病院職員たちには良い方向ですが、他の業界のベースアップレベルには到底及びません。また、40歳以上の医師や事務職員は支給対象外となっていることに大きな疑問を感じます。さらに、物価上昇やエネルギー高騰等には全く対応しておらず、実質的には減収となっています。医療の高度化に伴って高額な医療材料や医薬品を多く使用する急性期病院にとっては大変厳しいものです。
 さて、今年1月末に発生した埼玉県八潮市の道路陥没の事故は大変衝撃的なニュースでした。日本の高度成長期に造設された上下水道等のインフラが老朽化していることを認識させるものでした。日本国内では年間2万箇所程度の上下水道の破損が報告されているとのことですから、福岡においても同様の事態が発生してもおかしくないと思われます。
 今年2025年は団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になる年です。医療提供体制を維持するために、それぞれの時期の人口構成、医療ニーズを予測して地域医療構想が進められてきました。この政策は高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病床数を地域内で必要な数に調整をするものでした。しかし、多くの地域で国が描いた病床数には至っていません。そのため、2040年を次の目標地点として新たな地域医療構想がまとめられています。今回は病床数の調整だけでなく、地域における医療機関としての機能を決める方向性が示されています。これについて当院は急性期拠点病院の機能を整備することを考えています。
 これからも地域の中での役割を意識し、求められる医療を提供できるようにしっかりと体制整備を進めていきたいと考えています。地域の患者さんや近隣の医療機関とお互いに理解、協力し合いながら真摯な姿勢で医療を行います。
 
 今後とも皆さまのご指導、ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。
令和7年4月吉日

福岡赤十字病院
院長 中房祐司