臨床指標

16)放射線部

16)-1  CT検査時の被ばく管理の試み

CTDIVOL.:目的のスキャン条件における、円筒型のアクリル樹脂ファントム中での、特定ではない一点における平均的な線量平均的な線量を表す。(mGy)CT検査時、管球が一回転する時の線量に基づく指標
DLP:その線量に長さを乗じたもの(線積分線量)(mGy・cm)
DRLs:診断参考レベル
医療被ばくに関する学会・協会等の協力を基に、医療被ばくネットワーク(Japan Network for Research and Information on Medical Exposure : J-RIME)が全国の放射線診療における被ばく線量・リスク評価など医療被ばくに関するデータを収集し、我が国の医療被ばくの実態を把握し適切な防護体型を構築する値。
DRLsの数値は、標準的な体型の患者での線量分布での、75パーセントタイル値をいいます。
DRLsの数値は、被ばく低減の目標値であり、画像との兼ね合いで目標値を超える事もあります。(画像の質を担保しながら、線量を抑える事を目的としている値)
 
解説
・放射線科内で、検査頻度が高く、被ばく線量が多いと考えられるCT装置について検討を行っています。当院のCT検査の被ばく線量は各装置・各プロトコール(検査方法)において、全て「DRLs:診断参考レベル値」を下回っています(赤の実線)。
 心臓(冠動脈)CTは以前64列CTで撮影していましたが、320列CTで撮影することにより、画質は飛躍的に向上されたにも関わらず、被ばく線量は半分以下になっています。今後は新しい撮像方法、画像の処理方法により更に被ばく線量が低減される可能性があります。
・医療法施行規則の一部改正により、診療用放射線のための安全利用のための指針を各病院で作成しなければならず、CTにおける被ばく線量も、線量管理システムを用いて診療を受けた者に対し、記録しなければならないという義務が課せられます。
 患者毎に被ばく線量が記録される事を元に、データを分析し、更なる被ばく低減となるよう検討していく予定です。